「日本農業新聞」に掲載されました!
「農家の救世主に
地域づくり協同組合の今」
西日本共同企画
職員が求める暮らしや働き方を重視するのが、京都府京丹後市の地域づくり協同組合(京都府京丹後市)だ。職員の面談で適性を見極め、興味分野を掘り下げる。事業者の要望を聞く専任職員を事務局内に置き、職員の人生設計に合う派遣先を調整。1年半で7人の移住者を雇い、市内の企業に就職した職員も出始めている。
同組合では、労働力確保だけが目的ではなく、組合を移住者の働き口の受け皿だと捉える。重視するのが職員の人生設計や適正だ。
東京で会社員をしながら株式トレードをしていた藤原健太郎さん(31)は「株取引を本格化したいが、週3日ほど働いて平日休める仕事を自分で見つけるのは苦労した」と振り返る。現在は組合の職員として週4日、市内の農園で働き、休日に株式市場や株主総会に出向く生活を送る。
「年間の派遣先スケジュールは事前に決めない。本人の興味を一緒に掘り下げ、派遣先を柔軟に変える」。組合の事務を担う(株)フーフー・フーの和田直樹さん(39)はそう語る。職員には採用前に、現地見学や仕事を体験させて、興味分野や暮らしに求めることを探る。雇用後は毎月1、2回面談し、仕事が楽しいか、次に何をしたいか聞き取り、興味と適性のマッチングを繰り返す。
下支えするのが、事業者向けの専任営業担当だ。組合に加入する10事業者と対話し、人手が必要な期間や人数の他、生活スタイルや人柄なども考慮しながら職員を紹介。職員の1人は今年4月から組合員の酒蔵に就職した。現在も6人の移住者が組合で働く。
住まいの確保対策もする。同社が戸建ての空き家を購入し、シェアハウスを運営。入居している藤原さんは「とりあえず住む所があるという安心感があった」という。
組合員の1人、果樹農家の日下部太郎さん(34)は「もっと短期間で受け入れも検討できないか」と考える。現在は数ヶ月単位の雇用が主流で、大規模な事業者しか利用しにくい。地域には小規模な事業者も多く、より多くの事業者が使いやすい仕組みを模索したいと意気込む。